森の中の高級貸切リゾートウェディング「彩音」

あの日に
帰りたくなったら、
ここに帰ろう。

山下 宗一郎様・祐三子 様

2017年11月25日挙式

「テリーヌのおいしいレストランだって」。僕たちは、誕生日のディナーで初めて彩音にやってきた。
評判どおりの味わいに夢中になりながら、ふと彼女が言った。
「ここ、結婚式場なんだ」。そのころ、彼女はすでに社会人。僕は、弁護士を目指す大学院生。
収入は少ない。結婚なんて口にも出せない。
心の底ではとても焦っていた。その焦りさえ、いまはなつかしい。

司法試験に合格した僕は、まもなく彼女にプロポーズした。
式場?彩音しかありえない。彼女も僕も、すっかりその非日常感の虜だった。
街の喧騒が追いかけてこない森の中。重厚なのにぬくもりのある建物と、趣味のいい調度品。
都市のホテルでも、雰囲気だけなら真似できるかもしれない。
けれどそこに、彩音のような本物の感触はきっとない。
おまけに、式を挙げられるのは一日に2組。知らない誰かと鉢合わせしない。まるで自分たちの家だ。

準備には1年をかけた。自作の企画書まで用意した。コンセプトは「奇人たちの森の晩餐会」。
芸術イベントの事務局を買って出るほどアートを愛する僕と、じつはゲーマーの彼女。
ふたりの趣味嗜好を掛け合わせたらこうなった。「みんなで仮面をかぶったり、火吹き男を呼んだり……」。
僕が意気込む隣で彼女はつぶやく。「ケーキにゲームのキャラクターを載せて、BGMも……」。
自分でも思う。なんてめんどうなカップルだろう。でも、悪ふざけしてたわけじゃない。
結婚式は、大好きなすべての人たちが集まる日。だからこそ、どこまでも自分たちらしくしたかった。そのことで、心から驚き、楽しんでほしかった。

彩音のスタッフたちは、突拍子もないリクエストにも絶対に眉をひそめなかった。
どうすれば実現に近づけられるか、真剣に悩んでくれた。
たとえば火吹き男。冷静に考えれば、絶対に無理だ。
けれどプランナーさんは、僕が「本物の炎」を使った演出をしたがっているのだという本質を見抜き、
ガーデンに松明を並べることを提案してくれた。それに、衣装も、花も、照明も。
どのスタッフが欠けても、僕たちがめざした世界はそこに現れなかっただろう。

式の翌日。友だちがSNSにアップした写真には、たくさんのコメントがついた。
「これ、本当に結婚式?」。赤い靴下を履いて、仮面をつけた人が並んでいるのだから無理もない。
外国からの「日本ではこれが普通なのか」という問いかけさえあった。
どう見ても普通じゃない結婚式を挙げることができて、心からうれしかった。
親族も友だちも、ゲストみんなが僕たちのアイデアに乗っかって、はしゃいでくれたこともうれしかった。
まだまだ生きていく僕たちだけど、これが人生でいちばん楽しい日かもしれない。そう思えるくらいに。

僕たちはときどき、彩音のレストランに出かける。
弁護士になろうともがいていた頃の自分も、挙式当日の高揚感に満ちた自分も、そこにいる。
そのすべての瞬間を、ともにしてくれた彼女もいる。
あの日はもう繰り返せない。
けれど彩音に帰ることで、僕たちはいつでも、あのすばらしい一日に帰ることができる。